政倫審とは?
政倫審の正式名称は、政治倫理審査会。一連の自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、野党側は政倫審を開き、自民党安倍派や二階派の幹部らの出席を求めています。立憲民主党は岸田首相に対して政倫審の開催を求めています。
政倫審は衆議院と参議院にそれぞれ設置され、政治倫理の確立のため、議員が「行為規範」その他の法令の規定に著しく違反し、政治的・道義的に責任があると認めるかどうかについて審査し、適当な勧告を行う機関です。
行為規範の遵守、登院自粛、国会役職辞任などを勧告できますが、法的拘束力はありません。また議員辞職などを勧告することはできません。
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政治の世界では、透明性と倫理が常に最前線にあります。しかし、時にはその線が曖昧になり、疑念が生まれます。ここに登場するのが「政治倫理審査会」、通称政倫審です。
ある事件が起こり、その中心には自民党内の有力派閥がありました。政治資金パーティーの裏金疑惑です。この問題を解決するため、野党は政倫審の開催を強く求めています。
目の前には、自民党の安倍派や二階派の重鎮たちが呼び出されるかもしれないという状況があります。立憲民主党はさらに一歩を踏み出し、首相自らに対してこの会の開催を促しています。
政倫審は、政治の道徳性と倫理性を守るための盾です。
衆議院と参議院、両院に設置されており、議員たちの行動が「行為規範」やその他の法律に大きく反していないかを検証します。
そして、もし必要とあれば、登院自粛や国会役職の辞任などの勧告を出します。
ただし、これらの勧告に法的な拘束力はなく、議員の辞職を強制することはできません。
この政倫審の役割は、政治家に対する一種の道徳的な羅針盤として機能します。
政治家たちが自らの行動を振り返り、その責任を真摯に考える機会を提供するのです。
そして、私たち市民にとっては、政治の透明性を保証し、信頼を築くための重要なプロセスの一部となります。政倫審の存在は、政治が正しい道を歩むための重要なステップなのです。
政倫審を開くためには?
現在、衆議院の政倫審委員は25人です。25人の3分の1以上=9人以上の委員から「申し立て」があった場合、もしくは、不当な疑惑を受けたとする議員本人が申し出た場合に審査会が開かれます。現在25人のうち野党の委員は8人。そのため、ある自民党幹部は「与党も同調しないと開会できないから政倫審は開けない」と話しています。
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衆議院の政治倫理審査会、通称「政倫審」があり、その委員は25人。この数字が鍵を握っています。
なぜなら、この25人の中から、たった9人以上の委員が「申し立て」を行うことで、大きな輪が動き出すのです。
もう一つのシナリオは、疑惑の渦中にある議員自身が前に出て、審査を求めること。どちらの道も、審査会の開催へと繋がります。
しかし、ここには一つの計算があります。現在の委員の中で、野党の代表は8人。ほんの一人足りないのです。与党の誰かが手を差し伸べなければ、審査会は開かれません。この状況に、一人の自民党幹部が言葉を漏らします。「与党も同調しないと開会できないから、政倫審は開けない」と。
ここに描かれるのは、政治の舞台裏で繰り広げられる、微妙なバランスと戦略のです。
ただの数字のゲームではなく、それぞれの人物が持つ信念や思惑が交錯する場。
政倫審の開催には、ただの数学以上のものが必要なのです。
原則非公開
また「審査会は傍聴を許さない」との規定があり、原則として非公開です。しかし、申し出た本人(議員)からの要望などがあった場合、公開となることもあります。
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政治の舞台裏で、密室で行われる審査会。
ここでは、重大な決定が静かに、しかし確実に下されます。
その場の空気は、秘密に包まれ、外部からの目は許されていません。
そう、政治倫理審査会、通称政倫審の審査は、原則として世の目から隠された非公開のものなのです。
しかし、ここに一筋の光が差し込む瞬間があります。
その鍵を握るのは、申し出た本人、つまり議員自身です。彼らの一言があれば、この密室の扉は開かれ、私たち一般の人々にもその内容が明かされるのです。
議員が望めば、審査会は公開される可能性があるのです。
過去に開かれた政倫審
衆議院の政倫審は1985年に設置されて以降、9回開かれています。参議院では、これまで一度も開かれていません。9回のうち、本人の申し出で開かれたものは8回。委員の申し立てで開かれたものは1回です。
申し出で開かれた直近の政倫審は、2006年2月23日の自民党・伊藤公介議員(当時)の耐震強度偽装問題に関する審査会。この審査会はメディアにも公開され、問題があった不動産業者社長と国土交通省の担当課長を引き合わせた伊藤議員が「政治倫理に反していない」と弁明しました。
申し立てで行われた政倫審は、2009年7月17日の民主党・鳩山由紀夫代表(当時)の資金管理団体の政治資金収支報告書に、亡くなっていた人などからの献金が記載されていた問題について開かれました。こちらも公開されましたが、鳩山氏本人は欠席しました。
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衆議院の政倫審、この重要な舞台は1985年にその幕を開けました。
それ以来、計算すると、9回の審査がこの場で行われています。
しかし、その対照的な一面として、参議院ではまだその初演が待たれています。
この9回のうち、興味深いことに、議員自身の申し出によって審査が開かれたのは8回。
委員の申し立てによるものはわずか1回だけです。
直近の申し出による審査会が開かれたのは、2006年2月23日。
自民党の伊藤公介議員(当時)で、舞台は耐震強度偽装問題に関するものでした。
この審査は、私たち市民にもその扉が開かれ、メディアを通じて世に知られることになりました。
伊藤議員は、問題を抱える不動産業者社長と国土交通省の担当課長を引き合わせ、自らの行動が「政治倫理に反していない」と弁明しました。
一方で、委員の申し立てによって開かれた唯一の審査会は、2009年7月17日に行われました。
この日の焦点は民主党の鳩山由紀夫代表(当時)で、議論の中心は資金管理団体の政治資金収支報告書に記載された、亡くなっていた人々からの献金の問題でした。
この審査もまた公開されましたが、鳩山氏はその場に姿を見せませんでした。
それぞれの審査会は、政治家の倫理と責任について、私たち一人ひとりが考えるきっかけを与えてくれるのです。
政治の透明性と信頼を築くための、重要な一歩。それが、政倫審の審査会なのです。
証人喚問や参考人招致との違い
国会議員に疑惑や問題が生じた際、国会で説明を求める場は「政倫審」の他にもあります。
その一つが「参考人招致」。参考人は、質疑者の要求、または理事の協議により、委員会の議決を経て委員長が招致し、出席、答弁することとされています。ただし、強制力はありません。
強制力のあるものが「証人喚問」。憲法の定める国政調査権と議院証言法に基づき、国会が証人を呼ぶことができるもので、うその証言をしたり、正当な理由なく出席を拒んだら、偽証罪・出頭拒否罪などの刑罰が科されます。
野党側は、原則非公開の政倫審は自民党側にとってもハードルが低く開催しやすいのではないかと見ていて、立憲の安住国対委員長も「徐々にハードルを上げて、最後は証人喚問まで徹底してやらせていただきたい」と徹底的に追及する姿勢を示しています。
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国会における問題や疑惑の追及には、さまざまな方法が存在します。
「政倫審」はその一つですが、さらに興味深い手段が用意されています。
「参考人招致」はその一例で、質疑者の要請や理事の協議により、委員会が参考人を招致します。彼らは国会に出席し、議員たちの質問に答えることになります。
しかし、この方法には強制力がありません。参考人は自らの意志で答えるのです。
一方で、「証人喚問」は、より強力な手段として位置づけられます。
ここでは、国会は憲法と議院証言法に基づいて証人を呼ぶことができ、この場における証言は強制力を持ちます。うその証言をしたり、正当な理由なく出席を拒んだ場合、偽証罪や出頭拒否罪などの刑罰が科されるのです。これは、真実を隠す者に対する厳しい警告となり得ます。
野党側は、政倫審が原則非公開であり、自民党にとって開催のハードルが低いと見ています。
立憲民主党の安住国対委員長は、この追及を徐々にエスカレートさせ、「最後は証人喚問まで徹底してやらせていただきたい」という強い意志を示しています。